トリメチルアミンの脱臭方法

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トリメチルアミンは、魚介類や動物性たんぱく質の分解によって発生する強い悪臭成分です。低濃度でも臭気指数が高く、施設内の作業環境だけでなく、周辺環境への影響が問題となるケースも少なくありません。

本記事では、トリメチルアミンが発生する主な要因や、発生しやすい施設、代表的な脱臭方式について解説します。

施設からトリメチルアミンが
発生する原因

トリメチルアミンは、魚介類や動物性たんぱく質に含まれるトリメチルアミンオキシドやコリンなどの成分が、微生物の分解作用によって生成される臭気成分。腐敗や発酵の進行に伴い発生し、特有の魚臭や生臭さを持つため、食品加工やし尿処理などの現場では問題となりやすい傾向があります。

揮発性が高く、発生後は空気中に拡散しやすいことから、施設内の作業環境だけでなく周辺地域への影響にも注意が必要です。

トリメチルアミンが
発生しやすい施設

食品工場

魚介類や動物性原料を扱う食品工場では、原料の鮮度低下や発酵・熟成工程においてトリメチルアミンが発生。特に水産加工や調理ラインでは、温度上昇や酸素不足によって分解反応が進みやすく、作業空間全体に臭気が拡散することも少なくありません。

臭気の抑制には、原料保管時の温度管理や、排気設備・脱臭装置による常時換気が有効です。

し尿処理場

し尿や汚泥を貯留・処理する施設では、含有される窒素化合物が微生物によって分解され、トリメチルアミンが生成されます。処理槽や調整槽などでは、発酵が進行しやすい環境や滞留箇所で濃度が高まり、アンモニアや硫化水素などの他の臭気成分と混ざり合うケースも多いです。

臭気苦情を防ぐためには、定期的な換気・攪拌に加えて、施設全体を対象とした脱臭システムの導入が不可欠でしょう。

トリメチルアミンを
脱臭する主なシステム

活性炭吸着法

活性炭吸着法は、装置内に充填された活性炭がトリメチルアミンを物理的に吸着して除去する方式です。構造がシンプルで設置が容易なため、小規模な排気設備や補助的な脱臭用途に適しています。

ただし、トリメチルアミンのような塩基性ガスは通常の活性炭では吸着効率が低いため、表面を酸性に処理した「酸含浸活性炭」を用いることで除去性能を高めることが一般的。交換頻度が高くなりやすく、運用コストには留意が必要です。

主な特徴

  • 構造が簡易で設置・運用が容易
  • 酸含浸活性炭で除去性能を向上可能
  • 交換コストや寿命管理に注意が必要

薬液スクラバー法

薬液スクラバー法は、排気中のトリメチルアミンを酸性の薬液と接触させ、化学的に中和・除去する方式。トリメチルアミンは酸と反応してトリメチルアンモニウム塩となり、水中に取り込まれます。

高濃度ガスにも対応でき、連続運転時にも安定した除去性能を発揮しますが、薬液の交換や濃度管理が欠かせません。中和反応による排水処理や薬液補充の手間が発生するため、運用コストを考慮した管理体制が求められます。

主な特徴

  • 高濃度・大風量の排気処理に適する
  • 化学反応により高い除去性能を維持
  • 薬液補充や排水処理などの運転管理が必要

オゾン・プラズマ法

オゾン・プラズマ法は、放電によって生成されたオゾンや活性酸素の酸化力を利用し、臭気成分を分解・無臭化する方式です。トリメチルアミンの場合、酸化反応によって窒素化合物や二酸化炭素、水などの無害成分に変化します。

薬剤を使用せず、運転操作も容易なため、排気変動のある現場や既存ダクトへの後付けにも対応。一方で、設備コストが高く、残留オゾン管理など安全面の設計にも配慮が必要です。

主な特徴

  • 薬剤を使わず酸化分解により脱臭
  • 変動排気や混合臭にも柔軟に対応可能
  • 設備コストや安全管理への配慮が必要

生物脱臭法

人工の充填材に微生物を付着させ、そこに悪臭ガスを通気し、水分や栄養分を供給してトリメチルアミンを微生物に分解させる方式。トリメチルアミンは水溶性が非常に高く、微生物が栄養源として効率的に利用できるため、安定した分解処理が可能です。

土壌脱臭法と原理は同じですが、臭気の処理能力が微生物の状態に依存するため、厳密な温度調整や湿度管理は避けられません

主な特徴

  • 比較的コンパクトな設計が可能
  • 維持管理に専門知識が必要な場合がある
  • 土壌脱臭よりランニングコストがかかる

土壌脱臭法

土壌脱臭法は、土壌や樹皮、堆肥などの充填材に生息する微生物が、トリメチルアミンを酸化分解する方式。微生物がガス中の有機窒素化合物を硝酸塩や二酸化炭素へ分解することで、臭気を除去します。

薬品を使わない自然由来の方式で、環境負荷が少なく、維持管理コストも削減。接触時間と設置面積を十分に確保できる環境であれば、長期的かつ安定した運用が可能です。

主な特徴

  • 微生物による自然分解で環境負荷が低い
  • 維持管理が容易でランニングコストを抑制
  • 広い設置面積と接触時間の確保が必要
トリメチルアミンに
適しているのは土壌脱臭装置

トリメチルアミンのような有機窒素系の臭気は、水溶性が高く、酸性環境下で微生物による酸化分解が進みやすいです。そのため、薬剤を使用せずに酸化・吸着・分解を同時に行える土壌脱臭装置が処理効率と環境面の両立に優れた方式とされています。

また、薬液や吸着材を用いないため、廃液処理や定期交換の手間がほとんど発生しません。維持管理が容易で、ランニングコストを抑えながら長期的に運用できることから、環境配慮型の臭気対策を重視する施設で導入が進んでいます。

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