ビルピットの臭気対策

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ビルピットは、し尿を含む排水が滞留することで臭気が発生し、トラップを通じて室内に上がる場合があります。こうした臭気は周辺環境にも影響を及ぼし、時にクレームの原因となることもあるため、衛生的で快適な環境を保つには脱臭システムの導入が欠かせません。

こちらの記事では、ビルピットに対応している土壌脱臭装置を提供している企業を紹介します。

ビルピットで臭気が発生する原因

ビルピットで臭気が発生する主な原因は、排水や汚水に含まれる有機物が腐敗し、硫化水素やメチルメルカプタンなどの臭気成分が生成されるためです。

また、排水トラップ内の封水が蒸発して下水の臭気が逆流する場合や、換気不良によってガスが滞留するケースも臭気の発生要因。こうした要因が重なると、室内や周辺環境への臭気漏れを引き起こし、苦情が発生してしまうのです。

ビルピットを脱臭する
主なシステム

活性炭吸着方式

活性炭やゼオライトなどの多孔質材に臭気分子を吸着させて除去する方式。幅広い臭気成分に対応でき、装置も比較的容易に設置できる点が特長です。

吸着剤の定期的な交換が必要で、交換時期の予測が難しい点がデメリット。湿気や高温に弱いため、ビルピットのように湿度が高い環境では交換頻度が早まる傾向があります。

主な特徴

  • 構造が簡易で設置・運転が容易
  • 酸含浸活性炭によりアンモニアなど塩基性ガスにも対応可能
  • 高湿環境では性能低下や寿命短縮に注意が必要

オゾン・プラズマ方式

酸化力の高いオゾンや非常に反応性の高い原子や分子によって臭気分子を分解する方式です。オゾン方式では、高濃度のオゾンガスを臭気と混合し、触媒塔内で臭気分子を分解。プラズマ方式では、排ガス中で高電圧放電を行い、低濃度オゾンなどを発生させ、臭気分子を酸化して無臭化します。

いずれの方式も、高濃度の臭気に対しては十分な反応時間を確保しなければ効果が出にくいため、設計上の留意が必要です。ビルピットは比較的高濃度かつ高湿度・低風量の環境であることから、オゾン・プラズマ単独ではなく、活性炭吸着や薬液スクラバーなどと組み合わせ、後段処理として用いられるケースが一般的です。

主な特徴

  • 薬剤を使用せず酸化分解によって脱臭
  • 硫黄系・混合臭にも対応可能
  • 設備コストや安全管理への配慮が必要

生物脱臭法

人工の充填材に微生物を付着させ、そこに悪臭ガスを通気し、水分や栄養分を供給して微生物に分解させる脱臭方法。ビルピット臭気に多い高濃度臭気に対応するには、微生物の厳密な管理が求められます。

たとえば、微生物が活動できる適切なpHを維持できるよう、必要に応じて栄養剤を供給。寒冷期や高温期には温度を適温にするための細かな管理が必要です。

主な特徴

  • 比較的コンパクトな設計が可能
  • 維持管理に専門知識が必要な場合がある
  • 土壌脱臭よりランニングコストがかかる

土壌脱臭方式

土の中に臭気ガスを通し、土壌に生息する微生物の分解力と、土壌自体の吸着・吸収作用によって臭気を除去する方式です。ビルピットから発生する低濃度・高湿度の腐敗ガスの分解を得意とします。

微生物の働きを活かす自然分解型のため、乾燥しやすい活性炭吸着法や薬液コストのかかるスクラバー法に比べて、維持費を抑えやすいのが特長。湿度の高い環境にも強く、換気ファンと組み合わせたFRP槽タイプなら屋内設置にも対応できます。

主な特徴

  • 薬液などが不要でランニングコストを抑えられる
  • 長期安定運転が可能で維持管理が容易
  • 高濃度臭気や短時間ピーク処理には不向き
ビルピットの臭気対策には
土壌脱臭装置

ビルピットで発生しやすい臭気成分の性質や運転コストを踏まえると、送風機付き小型FRP槽タイプの土壌脱臭装置がおすすめです。電力や消耗品コストを抑えながら、年単位のメンテナンスで臭気トラブルを長期的に解消できます。

本サイトでは、失敗しない土壌脱臭装置選びができるようおすすめの装置を徹底調査しました。水処理系・汚泥処理系の脱臭といった対象物別におすすめの装置を紹介。各装置におすすめの施設も記載していますので、ぜひご参考ください。

水処理向け・汚泥向け
土壌脱臭装置2選を見る

ビルピットの臭気に対応する
土壌脱臭装置メーカー

ライズ

ライズの土壌脱臭装置

引用元:ライズ公式HP
(https://www.kk-raiz.jp/)

排水処理装置の開発で培った技術をもとに、ビルピットや排水槽などの高湿度・高濃度臭気環境に対応した土壌脱臭装置を提供。独自のろ材「モーカライト」「モーカソイル」は、天然黒曜石を発泡加工した骨材と土壌を組み合わせたもので、硫化水素やメチルメルカプタンなどの腐敗臭を安定して除去します。

また、第三者機関の試験では大腸菌や真菌類の除去効果が確認されており、装置内部の清潔性を保ちながら運転が可能です。

※参照元:ライズ公式HP【PDF】(計量証明事業所エージーサービス「検査結果報告書」2020年9月3日)(https://www.kk-raiz.jp/deodorizer/pdf/deodorizer_doc.pdf)

ニチボー環境エンジニアリング

ニチボー環境エンジニアリングのバイオソイル土壌脱臭装置

引用元:ニチボー環境エンジニアリング公式HP
(http://biosoil21.co.jp/)

微生物の分解力を活かした土壌脱臭装置「バイオソイル」「バイオゼオ」を展開。いずれも硬質ゼオライト、活性炭、樹皮堆肥、微生物種菌などを配合した独自培地を採用し、硫化水素やメチルメルカプタンといった腐敗臭・下水臭を自然分解します。

「バイオゼオ」は、培地中のゼオライト比率を高めることで、吸着性能と通気性を両立させたモデル。湿度の高い環境でも微生物活性を維持しやすく、ビルピットのように湿気が多く風量が少ない密閉環境でも安定した脱臭性能を発揮します。

都市テック

都市テックの土壌脱臭装置

引用元:都市テック公式HP
(https://toshi-tech.main.jp/index.html)

ビルピット向けにはFRP製の土壌脱臭装置を提供しています。

従来、小規模施設向けの土壌脱臭装置は職人による現場施工に依存し、コストが高くなりがちでした。都市テックのシステムでは主要部を半完成品として搬入することで、性能の均一化と低価格化を実現。現場での組立時間も短く、施工負荷を軽減します。

アクリ

土壌脱臭装置のイメージ

引用元:アクリ公式HP
(http://www.aquri.co.jp/product/dozyodassyu/)

自然生態系を活かした土壌脱臭装置を提供するメーカーです。アクリの装置では、複数の特殊ろ材を混練して形成した顆粒状ソイルを採用しており、従来の土壌脱臭装置で課題となりやすかった目詰まりを抑えつつ、通気性・排水性・吸着性を高めています。

この顆粒状ソイルは通気を確保しやすく、高湿条件下でも微生物活性を維持しやすい担体。ビルピットのような閉所かつ高湿な環境に適していると言えます。